東京外郭環状道路計画、というのをご存じだろうか?
東京都が推進している3つの環状道路の一つ。
3本のうち内側の首都高中央環状線は、山手通りの地下にトンネルを掘り、池袋ー新宿間が07年12月完成予定、以南の品川・大井までは13年完成予定で現在工事を進めている。
又、外側の圏央道は、あきる野市で強制代執行をしてまで住居を立ち退かせ工事を強行中。高尾山にトンネルを掘り、環境に被害を与えながらも、青梅ー八王子間は09年度完成予定で工事中。
さて真ん中の外環道は、関越道の起点・練馬区大泉から東名高速の起点・世田谷区用賀を結ぶ16kmに計画されている自動車専用道路。昭和40年代に計画され、既に住宅密集地だったことから住民の大反対にあい凍結されていた。それを、石原都知事になってから、埃をはたいて引っ張り出され、大深度地下トンネルにすることで工事を始めようと手続きが始められた。
最初の住民と専門家を交えた検討会議では、計画を取りやめにすることも含めて、本当に必要かどうかを検討する、という答申が出ているにもかかわらず、東京都は、過去の都市計画を大深度地下トンネルを前提とした計画に変更する手続きを進めている。
今年の春に環境評価準備書を作成、それへの意見を夏には地元自治体の首長に提出させた。今は計画変更そのものへの意見を首長に求めている。
現在の計画変更案には、様々な問題がある。
第1に大深度地下トンネルの問題。地下41m以下の大深度には地上権が及ばないとする大深度法を初めて適用することになる大深度地下トンネル。住宅密集地の地下に、家が建ったままで掘り進むと地盤への影響はどうなるのか。確かにシールド工法の技術はあるかもしれない。しかし、地上への影響が今まで全くなかったはずはない。確認していない部分が多いのではないだろうか。
また、地下水の豊富なこの地域で、水がどのように動くかが問題となるだろう。秩父山地から東京湾に向かって流れる地下水。それを分断する形でできる直径16m(5階建てビルに相当)のトンネル2本。インターチェンジでは、ループを描いて地上・高架へと結ぶ何本ものトンネル。地下で何重もの層になっているという水の道を遮断し、又は層をまたいで繋ぎ、ダムとなるのか新しい川となるのか、予測はつかない。
環八の井荻トンネルでは、周辺の井戸が涸れ、地盤沈下などで家が傾くなどの影響が出たという。トンネルの東側は地盤沈下や井戸の枯渇、西側では液状化現象や思わぬところからの地下水の噴出などが心配される。
さらに工事やトンネル自体に接触することで、水が汚染される可能性もある。三鷹市は飲料水の一部を地下40mほどのところにある帯水層から深井戸でくみ上げている。その井戸への量的・質的影響も無視できない。
インターチェンジはさらに仙川を分断する形でつくられる。ここでも、行き場を失う水がある。三鷹市では分断される地点の上流で、丸池公園という公園を整備し、湧き水を復活させるなどの事業を行ってきた。それが無になってしまうのではないか。
さらにトンネル工事自体も、大量の水の処理で困難なものになるのではないだろうか。工事費や工事期間がかさみ、費用対効果の計算がずれてくることが懸念される。
第2に大気汚染の問題がある。現在の計画案では、トンネル内の排気ガスを集めて空中に放出する排気所が2カ所も設置される予定だ。全長16kmのトンネル内のほぼ半分の排気ガスが、集中して三鷹の空にばらまかれる。フィルターなどで処理をするとはいっても、現在の科学の力では、様々な汚染物質を無にすることはできない。
さらに、インターチェンジとジャンクションには、地上と結ぶためループ状の坂道が何本も走ることになる。何万台もの車の、ふかした排気ガス、上り下りするタイヤの粉塵、騒音、振動。道路が重なることでエンジン音が反響し、想定以上の騒音になっているのは圏央道の高尾山にあるジャンクションだという。そのようなことが住宅街でも起きるのだ。これはかなりの環境被害であり公害だ。
今ですら、三鷹市内の小学校でのぜんそくの羅漢率は決して低い方ではない。中央高速や東八道路そばの学校の羅漢率は高い方だという。又、光化学スモッグの発生率も、都心より多いときがあるという。決して「緑と水の公園都市」とはいえない現状を、さらに悪化させるような計画だ。
第3の問題は、インターチェンジにあわせて周辺の道路を整備する計画がともなっていることだ。確かに、現状では三鷹市内にある東八道路に出はいりする道路は少なく、道幅の狭い生活道路が多い。
しかし市の東境付近で極端に道幅が狭くなっている東八道路は、北に曲がり、放射5号と名づけられた玉川上水を拡幅して環八まで繋ぐ道に接続されるという。南北に行く道は調布保谷線が、これまた住宅を立ち退かせながら、現在用地買収を進めている。実はこのどちらの道路も玉川上水を分断するということで、反対運動が起きているが、都はそれを押し切って建設を進めている。これ以上の道路が必要だろうか。便利になった広い道路は車にとって便利なだけで、住民にとっては迷惑施設に他ならない。コミュニティが分断され、交通事故が増え、大気汚染や騒音などの公害が増えるだけだ。住民の健康と福祉を考えるならば、道路の利便性と秤にかけてみるべきではないだろうか。
さらに、今回のトンネル建設については、都市計画の変更だといっておきながら、もともとあった外環の計画も残るという。「外環の2」という名称で、地上部分にも道路を造るのだという。結局計画路線上の住民は立ち退きを迫られ、住宅街の家は、交通量の多い道路に直面させられる。何とも都合の良い「計画変更」ではないか。実際は「大深度地下トンネル」建設計画の新設でしかないのに、計画変更ということで手続きを簡略化させ、工事を進めようという魂胆のように見えてしまう。
三鷹市には、東京ドーム3個分のインターチェンジ+ジャンクション、そして大深度地下トンネルに地上の「外環の2」さらに周辺に何本もの16m道路建設と、大変負荷の高いこの計画。三鷹市自体も負担が大きい計画だと認めているにもかかわらず、そして沢山の懸念を表明しているにもかかわらず、計画変更を認めるという市長意見素案を発表している。やはり納得できない。事業着手までは認めない、というのであれば、計画変更そのものも認められないとすべきではないだろうか。対策も担保させないまま、精一杯やりましたと口先だけで逃げられるような努力目標だけ課しても実体は伴わないのではないだろうか。
数少ない専業農家のいる地域でのインターチェンジ建設、完成で緑豊かな住宅街をつぶす道路。水の道を分断し、破壊する大深度地下トンネル。どう考えても建設は容認できない。
国レベルの審議会では建設が必要な道路とはまだ位置づけられていない。東京都は、オリンピックを口実に推進するよう働きかけている。しかし、2016年のオリンピックがたとえ東京になったとしても、道路建設はどうやっても間に合わないのだから、本当の口実に過ぎないのだ。
今ならまだ、外環道建設を止められる、と思う。何よりの近道は知事を変えることではないかとも思うが、まずは地元の三鷹で反対だときちっと言っていこうと思う。
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